論文(査読あり):濱田博之(2003)

論文タイトル:
幕張新都心におけるオフィス集積と機能変化

掲載誌等:
地理科学,58-4,pp.253-267

キーワード:
東京大都市圏,郊外核,幕張新都心,オフィス立地,バブル経済崩壊

章構成:
T はじめに
U 幕張新都心の形成過程
  1) 地域の概観
  2) 開発の歴史的経緯
  3) 立地オフィスの概観
V 自社ビルオフィスの立地動向
  1) 自社ビルオフィスの概要
  2) バブル崩壊後と自社ビルオフィスの機能変化
    (a) 都心への回帰
    (b) テナントビルへの転換
W テナントオフィスの立地動向
  1) テナントオフィスの概要
  2) 空室率の推移と変動要因
  3) テナントオフィスの入替と機能変化
X まとめ

要旨:
  本研究は千葉市美浜区にある幕張新都心について調査を行い、特にオフィス機能について現状と機能変化の把握を試みたものである。
  幕張新都心に立地するオフィスビルへの入居はバブル経済期の1989年に開始され、当初はオフィス設備が整っていることから満室に近い状態となっていた。しかし1990年代初頭のバブル経済崩壊後、テナントオフィスの多くは幕張新都心から転出し入居率は急激に低下した。そのためビル管理会社は賃貸料を値下げし、結果として入居率は再び上昇した。
  バブル経済期に幕張新都心に入居していたオフィスは、東京都心部にある本社機能の一部を分担するものが多かった。しかしバブル経済崩壊後には千葉県を管轄とする支所オフィスが多くなっており、これらの多くは千葉市中心部から移転してきている。これは安価な賃貸料と幕張新都心のイメージのよさが、オフィス選好の際に重要視されたことによる。
  これらのことからバブル経済崩壊後には、幕張新都心に立地するオフィスの機能は、東京都心部にある本社機能のバックオフィス的なものから、千葉県を管轄とする支所オフィス的なものへと変化したといえる。